Sell Core Devices like Intel

日経ビズテックNo.007 で「勝手に考えるソニー再生計画」という特集があり、クレイトン・クリステンセンが「Sell Core Devices like Intel」という論文をかいている。
この論文において、
ソニーは55年から82年まで12の破壊的技術(この中にはトランジスタラジオ(TR-55)(今日の日経の「けいざい楽校」にも掲載されいた)やウォークマンが含まれる)を生み出してきたが、82年以降、破壊的技術を創出することができなくったということが記載されている。その理由として、
①盛田社長が経営から退いたこと(盛田社長とその補佐役5名は市場調査・分析をすることなく、優れた技術力を持ち合わせ、世界を駆け回り、顧客のWantsを追求した)
MBAホルダーがマーケティング部門に採用され、市場分析を重視するようにたったこと
があげられている。このような状況に陥ったソニーにはもはや破壊的イノベーションを起こすことは絶望的であり、戦略転換が必要である。その戦略転換として、インテルMPUチップセットで、安価で巨大なパソコン市場創出を支援(このおかげで、台湾のメーカーが躍進した)したのと同じように、コアデバイスを用いて、他社(特に東南アジア等、技術力や資金力があまりない発展途上国の企業)を支援するような役回りに転じ、他社が破壊的イノベーションを行えるよう促すべきだ
といった事が記載されている。
以前、週間ダイヤモンドで久多良木氏がセルについて「家電のインテルを目指す」と言っていたことを思い出した。でも、これは、プレステ3等のソニー製品にもセルを利用するので、セルが他社に普及するかどうかが微妙であるといった内容のことが記載されていた。クリステンセンは、このような中途半端なことをやめて、思い切ってセルのみ販売するといったことにシフトせよといったことを言っているようだ。でも、現在のソニーには非常に難しい戦略転換と言える。また、記事を読んで、どうもソニーのDNAが失われていくようで寂しい思いもした。といっても、もう20年以上、ソニーは破壊的イノベーションを起こしていないということなので、仕方がないことなのかもしれない。