ITにおけるローエンドの重要性

IT Pro-Java Radar ---- from 日経BP Javaプロジェクト■ 2005/1/25 Free Edition Vol.300 ■ で以下の記事があった。

ITは複雑怪奇であるが、ローエンドに訴えるものを作ることによって、イノベーションが起こるのは納得できる。まさしく破壊的イノベーション(ローエンド型)のことを言っている。

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●Sun社長兼COOのSchwartz氏,今度はIBMにケンカを売る

Sun Microsystems社の社長兼COO,Jonathan Schwartz氏は,以前にBLOGでRed Hatと論
戦したことがあります。その同氏が,またもや挑戦的なメッセージを出しています。今
度の相手はIBMです。
http://blogs.sun.com/roller/page/jonathan/20050121

◎関連記事
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20050124/155131/

IBMのCEOであるPalmisano氏への公開書簡で,IBMが,自社ミドルウエア製品の
Solaris10サポートに消極的であることを非難する内容となっています。「これは顧客
をPowerプロセッサにロックインする戦略だ」と指摘したうえに,「この振る舞いは,
多くのCIOにかつてのIBMを思い出させるだろう」とまで言っています。

要するにケンカを売っているのですが,「囲い込み路線じゃないか」という指摘は,ミ
ドルウエアのオープン化,それにオープンソース支援を標榜するIBMにとっては,嫌な
言葉ではないかと思います。

「Sunの社長兼COOがIBMにケンカを売っている」という構図はメディア的には面白い状
況なのですが,しかしこのやりとりからは生産的なアウトプットは出てこなさそうです。

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ところで,筆者には同じSchwartz社長の最近の別の書き込みの方も気になっています。
地味な内容に見えますが,長期的な考察を含んでいるからです。
http://blogs.sun.com/roller/page/jonathan/20050117

ネットワーク上のインテリジェンス──すなわち,人間の判断を伴う情報収集活動に関
する考察です。

Schwartz氏の父親は,以前政府の情報収集活動に関連する仕事をしていたそうです。父
親との会話の中で,旧ソ連の末期,ゴルバチョフ書記長が退陣に追い込まれた頃の情報
機関の活動について触れ「一般向けメディアであるCNNの情報は,政府機関が収集した
情報よりも質・量共に上回っていた」という感想を引用しています。

これと同じ議論が,BLOGを中心とする市民ジャーナリズム,あるいは「ネットワーク・
インテリジェンス」にも当てはまるのではないか,というのです。

最後に氏は,BLOGの本質は「単純さ」であり,「単純さこそは持続的な競争優位性だ」
という「謎々」を残しています。この言葉の意味は,もちろんBLOGによる「ネットワー
ク・インテリジェンス(あるいはネットワーク時代の市民ジャーナリズム)」の重要性
を示しているのですが,それ以上の意味もありそうです。

BLOGはWebの書き込みとリンク作業をシンプルにしたものですが,その単純さが抜本的
な変化を生み出した,と氏は言います。それならば,それ以外のIT諸分野についても,
「単純さ」がイノベーションをもたらすだろう,という解釈ができそうです。あるいは,
Schwartz氏がオペレーションの責任を負っているSunという会社の方向性も示している
と解釈できます

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